初メガネ

と言っても老眼鏡である。
あ━━━━ とうとう老眼鏡が必要な年代になってしまった。
何だかちょっと、信じられない。
肉体はこんなにも確実に老化していくのに、心はそれに比例するとは限らないのだね。
老いた皮膚を身にまとって、
だけどその中身は、遥か何十年前の時から大して成長をしていない私は
まるでユーミンのMiss Lonelyみたいだ。
戯言は置いておいて。
小さいもの、近くのものが見づらいと感じたのは、5年くらい前。
息子の高校の集合写真を見ようとしたら、何だか知らないが見えにくい。
息子の顔がハッキリ見えない。
虫眼鏡を使ってみたら、アラよく見える!
もしかしてこれが老眼てやつ…?と思った。
それからはもう、坂を転がる勢いで目が悪くなっていった。
私はもともと近視と乱視があるので眼鏡使用者だったが、
近くが見えないということの不便さは初めて知った。
本が読めない、裁縫ができない、薬の注意書きが読めない…
ここ1年くらいは更にグッと進行したらしく、携帯用のルーペを持ち歩くようにさえなった。
老眼鏡というと、今や100均にも売っている。
何かを読む時だけ必要なんだから、あれで十分じゃないかと思って買ってみたが
普段使っている近視乱視用メガネの上から、それを二重にかけるとまぁまぁ見えるのに
老眼鏡のみだとボワンボワンにボケてしまう。
それでも、人に見せるわけじゃないからいいやと、
家で本を読みたい時には、その「二重メガネ」というコントのようなスタイルで、
そして外出先で何かを見たいときは、携帯ルーペでごまかしてきた。
ところが、夏から勤め始めた職場ではexcelの細かい表なども扱う。
職場でも「二重メガネ」を貫いていたが、やはり失笑を買った。
そこでとうとう、やっと、検眼をして老眼鏡を作りましょう♪
と決心をした。
二重メガネでなければ良く見えなかったのは、
普段使っているメガネで強い乱視をまず矯正し、
その上で近くのモノに焦点が合うように矯正する必要があったから、だそうだ。なるほど。
そんな説明を受けつつ出来上がった、私の目のための老眼鏡をつけてみると……
わぁ~~!!クッキリ!!!
手元の本の、細かい文字もこんなによく見える!!!
知らず知らずのうちに慣れてしまっていた、うすボヤけた世界が一変し、
感動的なまでにクッキリハッキリのクリアーな世界がそこにはあった。
あ~~、もっと早くちゃんと作れば良かった!!
大満足で家に帰り、またクッキリクリアーな快適さを味わおうと老眼鏡をかけてみた。
うんうん、よく見えるわ~~。
そして、ふとそこにあった、いつも化粧をするときに使っている卓上鏡を手に取って
我が顔面を見てみると…
ギャアアアアアア!!
なにこのなにこの無数の小じわ!無数の毛穴!!
そしてそして角栓がこんなにぃぃぃぃ!!!
うそ━━━━っっ!!!
今までよく見えていなかったおぞましいものたちが、一気に見えた。
…やっばり私は、身も心も Miss Lonely だった…。
いつもありがとうございます!
これも脚色なしの実話です。
今まで見えなかった顎のプツプツに愕然とし、顔全体のチリメン皺に涙し、しばし呆然でした。
よく、お年寄りが食器洗いや掃除が完璧にできないのは、汚れがよく見えないからだと聞いたことがありますが
それを実体験しました。
それも自分のツラ汚れで(号泣)。
あ~ロンリーだわ~。
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